ロマン系キーボード到来!
前回提供いただいたRainy75からすっかりキーボード沼に引き戻されました。
いや、やっぱり良いキーボードは上がりますよね。
仕事柄の作業時間の98%キーボードを叩いているので、キーボードはもはやインフラ。
打鍵感は作業効率に影響するといってももはや差し支えないでしょう。
実はあれからすっかりメカニカルの虜になってしまい今もモニターの前にはRainy75が鎮座している訳ですが、有り難いことに株式会社KIBU様からまたキーボードレビューのご依頼をいただきました。
とても有り難い!有り難いんですが、キーボード沼の住人を自称しているとは言えイマドキのメカニカル事情には疎いので他のレビュアー様のようにスイッチがどうだ、内部構造がどうだと詳細まで語れないのが申し訳なくもあります。
その分当ブログではMacでの導入するにあたっての注意点や操作でつまずきそうな点など、できるだけ筆者が触って得た経験を盛り込みますのでトリセツ的に読んでいただければと思います。
そして本題。
今回ご提供いただいたのはモニター付きキーボードという、なんともロマン溢れる製品です。
ロマンは大歓迎!だけどどっちつかずの性能だと困るな…という不安を感じる方も多いと思います。その点も含め、いちキーボードフリークとしてワクワクしながらユーザー目線でレビューしてみたいと思います。
目次
外観・付属品
外観
今回ご提供いただいたカラーは「レトロレッドホワイト」。
他にブラック系シースルーカラーの「スケルトンブラック」も用意されています。
Ajazz AKP846は84キー75%キーボードに10.1インチの横長ディスプレイを悪魔合体させたキーボード。
どことなく昭和の時代に流行したワープロやポケコンを彷彿とさせます。
レトロレッドホワイトのカラリングはアイボリーホワイトにワインレッドとブラックをミックスした、まさにレトロ調のデザイン。
まさに昭和の国民的ゲーム機のそれですね。
なんとかコンピューターのなんとかベーシックを欲しがっていたあの頃を思い出します。
右側コントロール部も相まってカワイイとカッコイイの良いところをついているこのデザイン、刺さる人は結構多いんじゃないでしょうか。
後述しますが、そのデザインとは裏腹にキータッチのレベルはかなり高く硬派なキーボードに仕上がってます。
モニター部はテーパーがついていて一体型。
筐体右側にはボリュームノブとwin/mac切り替えとモニターon/offの物理スイッチがついています。
背面はUSBコネクタのみ。
このキーボードは無線非対応で接続方法は有線のみになります。
また底面にスタンドがあり、2段階の調整が可能です。
ちなみに付属のケーブルはUSB A to Cですが、Macbookへ手持ちのUSB C to Cケーブルでも接続できました。
説明書に「付属のケーブルを使用してください」という旨の記載があったので不安でしたが、ケーブルの制限は厳しくなさそうです。
重量
ケースの素材はプラスチックで重量は950g。モニター付きということもありそこそこの重量です。
ガスケットマウント・スチールプレートなどの構造体が組み込まれているので、しっかり打鍵感は担保された作りになってますね。
付属品
キーボードとPCを接続するUSB C to Aケーブル、USB Aのオス2・メス1の分岐ケーブル、キープラー、タッチペン、あと説明書です。
提供品には付属していませんでしたが、タッチペンも商品には付属しています。
分岐ケーブルには「1to2遅延強化延長ケーブル」と説明がありましたが、正直どういう状況で使うのか分からないです。
2口繋げば転送速度が上がるということですかね…不明です。
キーボード部
キー配列はほぼ一般的な84キーの配列。
ファンクションキーをつめて並べているので、空いた空間に「Print」と「Pause」が入ってる感じでしょうか。
このご時世にPauseキーを備えているのはちょっと珍しいですね。
フォントは丸ゴシック系のカワイイ系。
文字キー・特殊キー・ファンクションキーでフォントウェイトを変えているあたりコダワリを感じます。
またキー表面は細かいシボ加工が施されているので指のフィット感も良好です。
スイッチは「抹茶ラテスイッチ」を採用。
まさに打鍵感を象徴するようなクリーミーなグリーンの色合い。
キーキャップは安心のダブルショット。2色成形のプラスチックで印字されているのでフォントが鮮明で、長期間使用してもかすれる心配はありません。
打鍵感
キーボード単体でも価値のある打鍵感
定評のあるキーボードメーカーだけあって、見た目の可愛さに相反してキースイッチ、筐体どちらもとても造りはしっかりしている印象です。
採用されている「抹茶ラテスイッチ」は、コトコトととても心地良い感覚をフィードバックしてくれます。
古い例えになりますが、自分の知っているものだとcherryの赤軸がリニアになって打鍵感がより輪郭が鮮明になった感じでしょうか。
ボディ構造のバランスが良いこともあってキータッチは良好。
Rainy75と比較しても遜色ない、とても心地よい打鍵感ですね。
打鍵音は底打ちした時に金床を叩く高周波の音が少々ありますが、マイルドなので嫌味はありません。
プラ筐体なのでボディ鳴りのような反響は微妙にありますが、遮音材もしっかり入っているのでタイトに鳴ってくれます。
むしろ打鍵音を楽しむならこれくらい鳴っているくらいが丁度よいかなと。
打鍵感は押し始めに少し抵抗を感じますが、リニアにストンと落ちる感じ。
リニアスイッチのこの感覚はやっぱり楽しいです。
Rainy75のように無抵抗にストスト落ちていく感覚も良いですが、少し押しつぶすような抵抗のあるAKP846のほうが個人的に好きかも。
モニター付きということでそちらに目が行きがちですが、キーボード単体としても完成度・満足度は高水準だと感じました。
設定スイッチ・ノブ
キーボード右上にスイッチ類が集約されています。
- 音量調整ボリューム
- Mac/Win切り替え
- モニターのON/OFF
音量調整ボリュームはプッシュスイッチになっていて、スピーカーのオン/オフ操作も可能。
但しUSB 接続の外部スピーカーを使用する場合はコントロール外になるので使用できません。
Mac/Winは選択式で、OS毎のキーマップに変更されます。
モニタースイッチはシンプルにモニターの点灯/消灯です。PCのスリープ/電源オフに連動しないので、使用時のみONにする使い方ですね。
PC接続
WindowsはUSBケーブルを繋ぐだけで、外部モニターとして認識されます。
PC側のUSBの仕様に要件はありそうなんですが、公式にも特に記載はないですね。
所持しているWin機はちょっと古めのsurface pro6でしたがすんなりと認識しました。
Macはドライバが必要
一方Macでは別途ドライバが必要になります。
ドライバは下記からダウンロードできます。
https://www.a-jazz.com/en/search.jsp?id=422&q=akp846
「AJAZZ_AKP846 Wired No Light_MAC Driver File&Instructions for Use.zip」内の「RacerUSB_1.0_Installer-2024-02-19.pkg」をインストールします。
アプリケーションを立ち上げるとドライバがメニューバーに常駐されてモニターが接続されます。
ちょっと面白いのがこのドライバ、モニタの角度調整が可能です。
おそらく専用ドライバではなく汎用のUSBディスプレイドライバなのかなと。まぁこのキーボードでは絶対つかわない機能でしょうが(笑
モニター
画質・パネル
モニターサイズは10.1インチ。
画質については一般的なフルHDのモバイルモニターという感じで輝度は若干低めです。
グレアパネルなので若干反射は気になりますが、部屋の明かりがシーリングライトだけならそんなに気にならないレベルです。
ただデスクライトの直下だとかなり厳しいですね…ライトの角度によっては反射で全く画面が見られなくなります。
ここは少しコストが上がっても可動式かノングレアパネルにしてほしかったところですね。
解像度
解像度はPC側で確認すると1920x480px…なんですがショップサイトでのカタログスペックシートではモニターの解像度は1920x440pxとなっています。
この件についてメーカーに確認したところ、480pxが正しいとのことでした。
最近モバイルモニターでも時々見かける横長のアスペクト比モニターですが、ドットバイドットで縦480pxは想像するより結構狭いですね。
タッチ操作
Windowsではタッチ操作が可能ですが、Macではタッチ非対応になります。
基本的にMacはタッチパネル非対応なのでこれは仕方ないですね。
別の話になりますが、以前Macでもタッチ操作可のモバイルモニターを試したことがあるのですがそちらでも操作は限定的で、モバイルモニター側にカーソルを移動してカーソル操作ができる程度のものでした。
おそらくそちらはタッチパッド的なデバイスとして認識させていたのかな、と思います。
ちなみにこのパネルでも同様の対応をしてみましたが操作不可でした。
狭いモニターは用途を選ぶ
狭い狭いとディスってしまって申し訳ないのですが、あまり夢を見て購入してしまうとガッカリすると思うくらいには狭いです。
サイズ感的にはおおよそスマホを横に2つ並べた感じを想像するとわかりやすいかもしれません。
ただ画面の小ささはメリットでありデメリットでもあるので、これはこのデバイス特性です。
広い表示領域が欲しければ素直にサブモニターを買うべきでしょうし、この万能ではないモニターをどう使うべきかと考えるのもまたこのキーボードのロマンです。
使い方次第で可能性の広がるモニター
ではどのように使うべきか、と考えたところ個人的に有用だと思ったのが常時表示させたい情報を絞って固定化する使い方です。
現行のOSはWin/Mac共にバーチャルデスクトップを使えます。
日頃用件ごとにデスクトップを切り替えて使っていると、気を良くしてほいほい画面を増やしてまい、「あれ、メールはどこにいったっけ?」と右へ左へデスクトップを動かして探すことがしばしば発生します。
さらにリモートワークでチャットツールやzoomなんかも散らかったウィンドウの中に埋もれるのも厄介。
そういうシチュエーションにこういったサブモニターは活きるんですよね。
小さいモニターなので視認性は良くないですが、メールやチャットをこちらのモニターに常時表示させておいて着信を確認をするくらいならば十分。
詳細を見たかったらメインもニータに移して詳細確認・返信する、という使い方が自分にはフィットしていました。
あとは気分転換で音楽をかけるときはプレイヤー画面を置いておくのも良いですね。
できるだけ広く使いたかったのでブラウザはシンプルなarcでamazon musicを表示させたところ丁度よい感じでした。
あとはwindowsならタッチもできるので、ショートカットを並べてStream deckのような使い方や、手書き文字入力のパットとして使うのも良いかも知れません。
このサイズならではの使い方を探っていくのもこのデバイスの醍醐味だと思います。
キーマップ変更・カスタマイズ
VIAに対応
当然のようにAKP846のキーマップ変更についてはVIAに対応しているので自由にカスタマイズ可能です。
Windowsであれば先のリンクから「AJAZZ_AKP846 Single Mode No Lights_Keyboard Driver_V2.02.zip」をダウンロードして、中にあるjsonファイルを読み込ませればキーボードを認識します。
MacでのVIA対応について(※2024/10/23更新)
執筆時点ではありますがMacではVIAで認識していないようです。(ファームアップで認識できました!)
メーカーにこの件を確認したところ、ファームアップで対応可能とのこと。
(今回問い合わせした際にファームアップデータを頂いたのですが、ファームアップ方法が分からず未検証です。)ただ最新ファームは執筆段階では公開はされていないようなので、メーカーの対応待ちになります。
↑KIBU SHOPの商品ページにて最新ファームの公開を確認しました!
いずれファームが更新されたものが出荷される可能性もあるかも知れませんが、とりあえずMacだけで使う前提の方は留意しておいてください。
Macで使う場合のキーマップ設定・カスタマイズ
基本的にこの手のキーボードはWindowsを前提に企画・設計されていますが、AKP864ではMac用のOS切り替え用の物理スイッチが用意されています。
ショートカットでキーマップを変更して対応するキーボードが多い中、AKP846についてはあらかじめ設定が用意されているのは親切な点でしょう。
ただその仕様がおせっかいになってしまうケースもあるんですよね。
それもあって自分はキーボードにmacの設定があってもwinのまま使っています。
そのあたりを仕様を含めて解説していきます。
Mac切り替え時のキーマップ
ファンクションキーを使わないならスイッチ切り替えでOK
「Mac | Win」切り替えスイッチでMacに切り替えるとキーマップが以下のように変更されます。
- ファンクションキー:特殊機能キー(スピーカーオン・オフ等)
- altキー:command
- Winキー:option
- ctrlキー:control
これはMac bookなどのUS配列そのままです。
Macのデフォルト設定で使いたい場合はスイッチ操作だけで問題ないです。
ファンクションキー優先で使いたいならWin設定でカスタマイズ
ただMacでファンクションキーを優先した使いたい場合ちょっと問題があります。
通常その場合システム設定の
キーボード→キーボードのショートカット→ファンクションキー
から設定変更ができるのですが、AKP846ではこの設定が機能しません。
おそらくこの設定はApple製品(もしくはApple認定の)ハードウェアにしか対応していないとか、このキーボードの基盤に焼かれているとかそんな理由でしょう。
この件もメーカーに確認しましたが対応不可との連絡をいただきました。
Fnキーと同時押しでファンクションキーとして機能しますが頻繁に使う人にはちょっと面倒ですよね。
なのでファンクションキーをそのまま使いたい場合、スイッチはWinのままにしたほうが良いです。
これが自分がwin設定のまま使う理由です。
ちなみに自分がwinの英語キーボードをMacで使う場合、Karabiner-Elementsで以下のキーを変更しています。
- left_command:left_control
- left_control:left_command
- altキー単体で押したときに英数・かなをトグルで切り替え
まぁこの手のUSキーボードをMacで使ってる方なら素直にいつも通りの使い方をしよう、という話です。ちょっとハマりそうな点だったので書いておきました。
モニターの活用法を考えると可能性の広がるデバイス
ということで、世にも珍しいモニター付きキーボード「Ajazz AKP846」のレビューでした。
価格はちょっと高めですがチャレンジングなプロダクトは評価したいんですよね。
モニター付きのキーボードなんて、面白くない訳がない!
デスクの隙間を埋めるチョイ足しデバイス
モニターをもう一台ほしいけど13インチクラスのモバイルモニターでもちょっとかさばると考えているなら、デスクを圧迫せず隙間を埋めるこのサイズ感はまさに絶妙。
できることに制限はあるもののフィットした活用法を発見するとこの上ないデバイスになると思います。
なによりディスプレイ一体型キーボードとはまさにロマン!
ロマン故に人を選ぶきらいがあるのと3万円と少々高いので、キーボードとしてはレベルが高いもののモニターをどう活用するかによって評価が変わる製品だと感じました。
とてもニッチなカテゴリですが、モニター付きキーボードは人によっていろんな使い方を想像させてくれる、時代にあったプロダクトではないでしょうか。
製品購入リンク
国内での販売はKIBUオンラインショップで取り扱っています。
このキーボードに興味のあるかたは是非チェックを!
※ファームアップで動作が確認できました!
KIBU SHOPの商品ページの「マニュアル」にファームウェアの情報が更新されています。
ページリンク:https://kibushop.com/products/ajazz-akp846
ダウンロードリンク:https://t.co/nQmBugtTDv
早々にご対応いただきありがとうございます!