質実剛健なNDフィルター「K&F CONCETP HD SERIES nano-Xフィルター ND1000」レビュー

スローシャッター撮影に必須の高濃度フィルター

通常写真撮影の場合できるだけ明るい環境を整えるものですが、日中の屋外でレンズのF値が低い明るいレンズではシャッタースピード(SS)を上げて露光量を調整しなければ白飛びした写真になってしまいます。
シャッタースピードの調整で賄えない場合はF値を上げて絞る必要があるのですが、そうなるとボケを活かした表現ができません。
そんなシチュエーションで使われるのがレンズの前にグレーのフィルターに装着して物理的に光量を落とすNDフィルター(減光フィルター)です。

NDの後に付くナンバーはレンズに入ってくる光量を1/nに落とすという意味。
ND8なら1/8、ND16ならば1/16という感じですね。
基本的に上記のような用途やシャッタースピードを上げたくない動画撮影などではND8〜16辺りがよく使われているようです。

またNDフィルターは浅い絞りを確保する用途の他に、動いているものをダイナミックに表現したい場合などスローシャッターを活かした撮影にもNDフィルターは使われます。
よく作例で見る、滝が滑らかな水の軌跡で表現されている写真や道路で車のヘッドライトだけが流れている写真などですね。
この場合、より暗いND400などのフィルターを使用することでシャッタースピードを10秒以上に設定した撮影が可能になります。

カメラを趣味にしていてそういった写真も撮ってみたいなぁとは思うものの、用途が限定されるので手を出しづらかったフィルターだったのですが、今回K&F Consept様よりサンプルを提供いただける事になったので、作例を交えてレビューしたいと思います!

製品外観


K&F nano-Xフィルター ND1000外観

今回ご提供いただいたのは「K&F CONCETP HD SERIES nano-Xフィルター ND1000」というND1000のフィルター。
日本光学ガラスを採用し16層マルチコート、撥水・撥油・防塵と中国製メーカーと侮るなかれ、なかなか贅沢な仕様になっています。


K&F nano-Xフィルター ND1000製品写真

このフィルターはナンバーが1000ですから光量が1/1000という事になります。
つまり適正なSSが1/200秒(0.005秒)ならば5秒、1/100(0.01秒)ならば10秒、1/30(0.033秒)ならば約30秒という具合。


K&F nano-Xフィルター ND1000製品写真

なのでND1000はとても暗いフィルダーです。
MARUMIのND8と並べてみるとこんな感じ。
右のND8はテーブルの木目がうっすら透けて見えますが、左のND1000は真っ黒。
目に近づけて見てもほぼ真っ暗な状態まで遮光されるのが分かります。


K&F nano-Xフィルター ND1000製品写真

またND1000ともなると厚みが出てきてしまうものですが、このフィルターは薄型設計でND8と比べてみてもほぼ変わらない感じ。
広角域での周辺ケラレにも強そうですね。

質感やレーザー刻印のクオリティも申し分なし。
所有感も十分満足できる仕上がりです。

作例1

そんな訳で早速作例を撮影に出かけてきました!
機材はCANON 6DとEF24-70 F4.0です。

ロケーションは昨年あたりからインスタで一躍人気になったスポット、千葉の「農溝の滝」です。
ちなみに正確には「亀岩の洞窟」で、「農溝の滝」はその側に流れる小さな滝のことを指します。

農溝の滝1

CANON EOS 6D
CANON EF24-70mm F4.0
53mm 1/4sec,F5.6,ISO200

ではシャッタースピードでの違いを見てみましょう。

シャッタースピード比較

SS1/4秒(フィルターなし)

シャッタースピード比較1

CANON EOS 6D
CANON EF24-70mm F4.0
50mm 1/4sec,F8.0,ISO200

SS1秒(ND8使用)

シャッタースピード比較2

CANON EOS 6D
CANON EF24-70mm F4.0
50mm 1sec,F11,ISO200

SS30秒(ND1000使用)

シャッタースピード比較3

CANON EOS 6D
CANON EF24-70mm F4.0
50mm 30sec,F5.6,ISO200

シャッタースピード30秒での撮影ですが滝…というよりは段差みたいなものなので期待した感じにはなっていませんね。

しかし水面を見ると表現の違いがよく分かります。
SS1/4秒では水面の波打ちと映り込みがハッキリ出ていて少々硬い印象なのに対し、SS30秒のものは滑らかになりフワっとした不思議な雰囲気になります。

SSの速い止まった写真よりも、水の流れを感じられてグッっと印象的な作品に仕上がりますね。

フィルターによる画質劣化はほぼ見られない

そして気になるフィルターによる画質の劣化はほぼ見られないと言っていいでしょう。
というか自分の目では等倍鑑賞でも見分けがつきません。
ちなみに若干ブレているのは30秒というシャッタースピードの影響ですね。

作例2

次に海辺での撮影です。
場所は同じく千葉の「守谷海岸」。
小さな砂浜ですが水の透明度は高く、夏場は人気の海水浴スポットです。

守谷海岸1

CANON EOS 6D
CANON EF24-70mm F4.0
24mm 30sec,F8,ISO100

海面から波が消えて、浜辺に打ち寄せる白波は雲のような感じに。
突き出た岩場は雲海から垣間見える山頂のような不思議な写真になります。

気になる周辺のケラレですが、これは広角側24mmでプロテクトフィルター+NDフィルターの重ねがけをしたために発生したものです。
薄型フィルターと言えどフィルターの重ねがけは少々厳しいようですね。
NDフィルターのみで撮影すればおそらくケラレは発生しないでしょう。

そして50mm付近でのフィルターあり・なしの比較です。

シャッタースピード比較

SS1/4秒(フィルターなし)

守谷海岸2

CANON EOS 6D
CANON EF24-70mm F4.0
47mm 1/4sec,F8,ISO100

SS30秒(ND1000使用)

守谷海岸3

CANON EOS 6D
CANON EF24-70mm F4.0
47mm 30sec,F8,ISO400

フィルター重ねがけでも50mm付近では24mmで発生したケラレは見られませんね。
またこちらでも画質の劣化は確認できません。

表現の幅が広がるオススメのフィルター


K&F nano-Xフィルター ND1000製品写真

という訳で今回は「K&F CONCETP HD SERIES nano-Xフィルター ND1000」を一日持ち歩いて撮影してきました。

以前アマゾンで某社の格安フィルターを使ってみたところ明らかな画質劣化が見られたので、正直中国メーカーには期待していなかったのですが、今回の製品は良い意味で大きく期待を裏切られる結果となりました。
所持しているMARUMIとKenkoと比べても遜色なく、十分オススメできるクオリティですよ!

ただ気になったのは、季節の影響もあるのでしょうが静電気が帯びやすくホコリが付着しやすい点。
あと携帯しやすいケースが付属してくれると嬉しいかな、という点。
これらが改善されれば高い日本メーカー品を買う理由がなくなるかも知れません。

ともあれ提供品という贔屓目なしにK&Fというメーカーに好印象を受けた製品でした。
フィルター選びに悩んでいる方は是非検討してみてください!

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