プラモデル・小物撮影に効く!LEDライトセーバー撮影再び

ここ数年ズブズブハマっているプラモデル。
作ったら撮影して制作が完了というルーチンなのですが、なにげに難しいのが物撮り。
物撮りというか正確にはライティングです。

物撮りのカメラ設定はほぼ決まりきってるのですが、ライティングは被写体によって変わるのでなかなかセオリーが確率できずよく悩みます。
特に悩むのが光沢のある被写体で、今回バイクのプラモデルを撮影するにあたって全然ライティングが決まらずなかなか納得のいく写真が撮れない。

と、そこで思い出したのが「ライトセーバー撮影」です。
久しぶりに実践してみてけっこうプラモデル撮影に向いてるかも?と思ったので今回記事にしてみました。

ライトセーバー撮影とは

某宇宙大戦争映画のソレではなく、棒状のLEDライトを振り回して「光を塗る」撮影手法です。
10年くらい前にデジカメウォッチか何かの記事で知った撮影方法です。

実は当ブログでも随分前に記事にしていますので、良ければこちらもご覧ください。

LEDライトセーバー撮影のメリット

ライトセーバー撮影の最大のメリットは低コスト、たいした準備をすることなく「本格的なライティング風」な撮影ができることです。

本来ちょっとした物撮りをするにもLED付きの撮影ブースを用意したり、こだわりだすとクリップオンやモノブロックのストロボや撮影用のLEDライトを揃えることになります。
さらにディフューザーやアンブレラを用意して、とかになると大仕事ですよね。
そこまで準備することを考えると「撮影は面倒だな…」と腰が重くなりがちです。

でもLEDライトセーバー撮影なら背景紙とハンディタイプのバーライトを用意するだけ、と非常に身軽に撮影ができます。
なんなら100均のLEDライトと色画用紙でも何とかなります

ライトセーバー撮影のデメリット

前述したように「光を塗る」というライティング手法のため、基本的に厳密に2度同じライティングを再現できません。
なのである程度慣れが必要だったり、何枚かシャッターを切ってその中からベストショットを選ぶという撮影フローになります。

あとは3〜10秒くらいの長秒露光になるので、しっかりカメラを固定できる三脚が必要なこと。
撮影方法にかかわらず物撮りをしている人なら三脚は持っていると思いますが、自立一脚のようなプルプルしたものは向かないので、できるだけ重くてしっかりした三脚が望ましいです。

LEDライトセーバー撮影に必要なもの

まず必要な機材は以下の通りです。

・マニュアル撮影ができるカメラ
・背景紙(なければ100均などで売っている色画用紙)
・調光できるLEDバーライト(なければ100均のLEDライト)

マニュアル撮影ができるカメラ

マニュアル撮影できるカメラなら何でも良いです。
具体的に必要な要件としては以下のとおり。

・マニュアルフォーカス(MF)でのピント合わせができる
・絞り(F値)の設定ができる
・シャッタースピードが5秒くらいの設定できる

レンズ交換式の一眼カメラならレフ機でもミラーレスだいたい問題ないでしょう。
フォーマットはフルサイズでもマイクロフォーサーズでも何でも良いです。
というかライティングを前提として絞り込む物撮りでセンサーサイズの差はほとんど出ません。

背景紙

被写体を置いて画角をまかなえるならば何でも良いのですが、それなりに撮影するならばシワにならず汚れも水拭きで落とせるPVCの背景紙がオススメです。

自分はこれを使っています。
幅60cmなので取り回しが良く、プラモデル程度ならば十分な広さ。白黒セットでこれくらいの価格ならば悪くないと思います。

わざわざ買うのも…という方はシワとか折れに気を使いますが紙でも全然良いです。
100均に売っているような若干荒い画用紙とかは撮影時に陰影のテクスチャがついて、逆に面白い効果になったりするので、エンボス加工された化粧紙などいろんな紙を使ってみるのも良いでしょう。

LEDバーライト

最後にこの撮影の要のバーライト。
アマゾンとかで「撮影 LEDバーライト」と検索すると色々出てきますが、できれば調光できる撮影用の製品のほうが望ましいです。

自分が使っているのはこちら。
Ulanziの撮影用バーライトです。

厳密な色温度が出ているかどうかは不明ですが、とりあえず6000K前後で撮影に使っていて現像時に変な色は出ていないです。
5000円前後で色々あるので探してみてください。

またバーライトは通常の撮影の補助ライトだったり、机の下に落ちたパーツ探しだったり、はたまたキャンプに持っていったりと広くて明るい光源としてと色々使えるので撮影用途以外でも持っていると便利です。

そんなにお金をかけたくない、ということならば100均のLEDライトでも何とかなります。
光量が少ないのでその分露光時間が長くなりますが、越堀ボケが気になるほどF値を上げる必要がでてくるならば、むしろ向いているかもしれません。

またライト選びの基準としては点光源が複数ついたものだと点が映り込むと思うので、COBの単光源のものか白色のカバーが付いている点光源にならないものが良いと思います。

スマホのライトでもできなくはないと思いますが…光量もそうですが色温度があまり良くなさそうなのでちょっと不向きかも。

カメラの設定

LEDライトセーバー撮影は基本的に長秒露光(バルブ撮影)になるので、人によっては特殊な設定かもしれません。
カメラやライトによって若干変わると思いますが、今回こちらで撮影した設定を解説します。

ちなみに今回使用したカメラはOM-SYSTEMのOM-1です。

ISO感度

できるだけ露光時間を稼ぐため、ISO感度はカメラの最低感度に設定
一部のカメラを除いて基本的にISO100ですね。拡張感度でISO80などがあれば下げても良いかも。

絞り(F値)

絞りはセンサーサイズと画素数にもよりますが、露光時間と被写界深度を稼ぐためにできるだけ高く設定します。
普段物撮りをしている方なら絞り込むのは一般的でしょう。

ただ気をつけないといけないのが回折現象です。
絞りすぎると逆にシャープさがなくなってくるので、自分のカメラの限界値を知っておいたほうが良いです。

これは自分の経験則とどこまで許容できるかによりますが、大体2000万画素クラスのフルサイズならF11〜F16、6000万画素のフルサイズならF8〜F11、2000万画素のマイクロフォーサーズならF5.6〜F6.3くらいが限界と考えています。

回折現象については以前自分がテストした記事を書いているので、こちらを参考にしてみてください。

シャッタースピード

最後にシャッタースピードです。
ISO感度、絞りは限界値が決まっているので、一旦その設定でシャッタースピードとライトの光量を調整して適正露出になる時間を探ってください。
自分は5〜10秒前後が撮影しやすいかなと思います。

露光時間が稼げない場合はNDフィルターを使うのも手です。
ただ少々高いので、わざわざ用意するなら少々F値を上げて対応するほうが良いです。

ちなみに個人的にオススメなのはOM-1のようなライブND搭載のOMシステムのカメラ
電子的に段階的なNDフィルターが便利なのと、おそらくカメラ内合成のプロセスが入っているので長秒露光でもノイズも少ないです。

またマイクロフォーサーズはマクロ撮影に強く何より物撮りではセンサーサイズ差はほとんど関係ないですか、マイクロフォーサーズは意外と物撮りに向いた機材なんですよね。

撮影

さて、いよいよ撮影です。
と言っても撮影方法はとても簡単です。

1.背景準備
2.三脚(できるだけしっかりしたもの)でカメラを固定
3.マニュアルフォーカスでピント合わせ
4.露出・タイマーシャッター設定
5.照明を全て消して真っ暗にする
6.撮影開始。ライトセーバーをブンブン振る

これだけです。
気をつけるのは部屋を真っ暗にするので先にMFでピント合わせするのと、レリーズブレを防ぐためにタイマーにすること。
あとは好きなように光を塗るようにバーライトを振り回してください。

コツとしては露光中に手を止めずに光を動かし続けることでしょうか。
フォーカスしたいところに多く光を当てたり、影が偏らないようにまんべんなく光を回したりと、結果をイメージしつつ振り回すと良いです。

撮影サンプル

では今回LEDライトセーバー撮影をしてみたサンプルです。
カメラは1枚を除きOM-SYSTEMのOM-1、ライブNDで撮影しました。

まんべんなく光を回したサンプル。
キットはタミヤのDUCATI SUPERLEGGERA V4です。

こんな感じにストロボや固定LEDライトと比べて、広い光源で撮影したような柔らかい光で撮影できます。
これが「本格的ライティング風」に撮れる、LEDライトセーバー撮影の醍醐味です。

こちらは同じ位置で、少し前方に光を多めに塗ってスクリーンとフロントカウルに反射をつけました。
ちなみに真っ暗な中での撮影なので、反射しているように見えるのはバーライトの光の軌跡。手の動きだけスポットの光量を自在に変えられるのもこの撮影手法の良いところです。

裏側をメインに光を塗って逆光よりのスポットライト的な感じで。
固定ライトではないので自由にライティングを試せるのもバーライトの面白いところです。

次にフラットな被写体と、ということでみんな大好きグフさん。
つや消しの被写体もいい感じです。

プラモデルばかりでもアレなので別の被写体をいくつか。
瓶とか金属とか反射しやすい被写体を選んでみました。

ウイスキーの瓶。
平滑な面ではないので反射も目立たないですが悪くないと思います。

アルミニウムケースのキーボード。
小さい光源だとどうしても部分的に白飛びしてしましますが、いい感じで質感が表現できていると思います。

トラックボール。
ボールの反射に思いっきり棒状の光源が出ちゃってますね。
しっかり反射ししてしまう被写体は早く振り回すか点光源のほうが向いているようです。

簡単で高級感のあるライティングを!

ということで「LEDライトセーバー撮影」の紹介でした。
古の撮影方法で当時もあまり流行っていたイメージもないですが、省スペース・小ない機材で安くリッチな結果が得られる撮影方法だと思います。

今でこそフリマサイトが流行りだしてからライトやブースなど撮影用アイテムが比較的安く豊富に販売されていますが、以前はそれなりに高価で選択肢も少なくLED機材もあまり流通していなかったと思います。
誰が提唱したのかは分かりませんが、ひょっとしたらそんな中で安く手軽にと考えられた撮影手法なのかもしれませんね。

物撮り限定で被写体の大きさもある程度限定されますが、プラモデルやフリマサイトの出品などには向いていると思います。
気になった方はまずは100均でライトと背景紙を揃えてチャレンジしてみてください!

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