最近なんとなく初ニコンということでNikon Z5を中古で購入しました。
IIではなくIのほう。
相変わらず型落タイミングの中古で遊んでいます。
Z5を選んだのは久しぶりにオールドレンズ遊びをしたくなったという理由。
ファインダーも見やすく中古価格も安いZ5はマニュアルフォーカスの母艦に丁度よさそうかなと。
しばらくはプラナーとかタクマーとか付けて遊んでいましたが、あちこち持ち出しているとやっぱりAFレンズが欲しくなるもの。
とりあえず定番の24-120mmは用意したけど現状レンズを揃えるまでは検討していないのでEマウントレンズのマウントアダプターを調査。
ちょうど最近発売されたお値ごろ価格のVILTROXさんのe-zアダプタを見つけたので購入してみました….がファームアップでちょっとしたトラブルに遭遇。
今回は2部構成で前編で製品レビュー、後編でファームアップとトラブルの顛末についてを書いています。
ファームアップについてはこちらに書いています。
外観・付属品

製品名は「Mount Adapter E-Z」。
ソニーEマウントレンズをZマウントボディに取り付けるAF対応アダプターです。
Amazonで27000円前後、Ali Expressで12000円前後と他社製品と比べてとてもリーズナブル。
人気商品のようで執筆している2025/6月上旬現在ではAmazonでは在庫なし。
私はAliExpressで購入しましたが到着日1週間とか書いてあるのに注文後に在庫がないと連絡が来て1ヶ月待たされました。
これってアリエクでよくある手口なんですかね?
すぐに欲しければ少々高くてもアマゾンで購入することをおすすめします。
同梱品は以下のとおり。
・アダプター本体(前後キャップ付き)
・ファームアップ用USBケーブル
・取扱説明書(中・英・日)

EマウントとZマウントはフランジバックの差が2.8mmしかないので、やはり他マウントのアダプタと比べてとても薄いですね。
他社製アダプタもそうですが、この薄さに回路を詰め込んで剛性を担保できるのは素直にすごいと思います。

外観はメッキ調でギラギラした質感。
チープというほどでもないですが、個人的にはもう少し大人しいシルバーのほうが好みかな。
表裏にボルト接合がないため溶着ですかね。脆そうな構造は見られません。
スペックシートにレンズ重量の記載がないため不明ですが、重量級のレンズでも問題なさそうに見えます。

ボディ側はしっかりフィットします。
レンズ側で若干ガタつきがありますが許容範囲という程度。

アダプタ側のレンズ脱着ボタンは右下になります。
Z5だとFn2に少しかぶる為押しづらくなりますね。
動作検証

ということで早速動作検証です。
対応レンズについては公式から公開されています。
Mount Adapter E-Z対応レンズリスト
https://cdn.shopify.com/s/files/1/0104/0380/7298/files/E-Z_latest_compatible_list_20241030.pdf?v=1730257242
見たところ新旧Eマウントレンズを網羅している感じですね。
テスト環境
今回テストしたボディ側の環境は以下のとおり。
・ボディ:Nikon Z5(ファームv1.43)
・アダプター:E-Z_V4.0(hardwave6.0)
レンズは私が保有していて装着できるEマウント純正、社外、EFマウント(MC-11使用)でテストしてみました。
テスト結果一覧
早速テスト結果の一覧です。
Eマウント
レンズ | AF |
---|---|
SONY FE PZ 16-35mm F4 G | △ |
SONY FE28-60 F4-5.6 | ◯ |
SONY Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA | ◯ |
SIGMA 45mm F2.8 DG DN | Contemporary | △ |
SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary | △ |
EFマウント(MC-11経由)
レンズ | AF |
---|---|
CANON EF16-35mm F4L IS USM | ☓ |
SIGMA 35mm F1.4 DG HSM Art | ◯ |
△としたのはF値によってAF動作不能になるものです。
※絞り環使用時。ボディ側優先(A)にして確認したところ正常動作を確認しました)
またこの問題については、2025/7/9段階でファームアップ(バージョン4.10/4.11)による動作を確認できました。
Eマウントレンズについて全く動作しないというものはないようですが、絞り込んでいくとどこかのタイミングでAF動作不能になるケースがあるようです。
2025/7/9追記
この問題についてはファームアップすることで動作を確認しました。
ファームアップの注意
E-Zアダプタは基盤に書かれているハードウェアバージョンによってファームが違います。
・VER5.0(4.00/4.01)
https://viltrox.com/pages/e-z
・VER6.0(4.10/4.11)
https://viltrox.com/pages/e-z-v6-0
※ファームアップは自己責任でお願いします。
また更新方法は別記事にまとめていますので、そちらも参照ください。
https://xtra-blog.net/viltrox-mount-adapter-e-z_2/
2025/7/5追記
△とマークした「F値によってAF動作不能」について再確認したところ、どうやら絞り環でのF値設定時に発生する問題だったようです。
絞り環を「A」に設定してボディ側でF値を設定したところ正常にAF駆動しました。
またこの問題については、2025/7/2にハードウェアバージョン5.0用のファームウェアV4.00/V4.01が公開されており、説明に
———–
Addressed degraded autofocus performance when using manual aperture beyond F5.6.
———–
の文言があるので修正されている可能性があります。
AFアルゴリズムの問題か
公式の対応一覧に掲載されているレンズでも完全動作したのはFE28-60 F4-5.6とSonnar T* FE 55mmだけでした。
Eマウントなら大丈夫だろうと思っていたのでちょっと残念な結果ですね。
技術的なことは分からないのですが、Z5はお世辞にも良いAF性能ではないのでボディ側のAFアルゴリズムに依存する可能性はあるのかもしれません。
おそらくメーカー側でも全てのボディで検証していないかもしれませんので、Z5IIなど新しい世代のボディならばしっかり動くかもしれないですね。
とりあえずZ5との相性はイマイチ、という感じです。
2025/7/9追記
上に追記した通り絞り環の対応不備について、ファームウェアアップデートで解消を確認できました。
2025/7/5追記
上に追記した通りF値によるAF動作不能については絞り環の対応不備が原因のようです。
改めて検証したところボディ側での絞り設定では動作確認ができたので、完全にではないですが今回検証したレンズについては正常動作するという認識で問題ないと思います。
SIGMA 35mm F1.4 DG HSM Artが完全動作
もう一つ意外だったのが「SIGMA 35mm F1.4 DG HSM Art」でしっかり動いたことでしょう。アダプター重ねがけしたEFレンズにもかかわらず完全に動作したのが驚きです。
シグマ+シグマの組み合わせなので相性が良いんですかね。
以前から「EFマウントユニバーサル・マウント化計画」を考えていたところなので、ちょっとシグマEFレンズを集めたくなってきました。
Exif情報
RAW現像時のExif情報について、全てのレンズでレンズ情報は入ってこないですが
・焦点距離
・シャッタースピード
・絞り値
・ISO感度
が記載されています。
AF不能だった「CANON EF16-35mm F4L IS USM」も情報が書かれていたので通信はできているようです。
レンズごとの動作詳細
ではレンズごとの動作詳細です。
SONY FE PZ 16-35mm F4 G
リング・ボタン | 絞り環:動作 MFフォーカスリング:動作 ズームレバー:動作 |
AF(※絞り環F値設定時) ※最新ファームで解消 | ワイド端16mm:F4~F11まで動作 テレ端35mm:F4~F6.3まで動作 |
SONY FE28-60 F4-5.6
リング・ボタン | MFフォーカスリング:動作 |
AF | F値全域で動作 ※レンズ繰り出し前に電源を入れるとF14固定になりAF動作不能 |
SONY Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA
リング・ボタン | MFフォーカスリング:動作 |
AF | F値全域で動作 |
SIGMA 45mm F2.8 DG DN | Contemporary
リング・ボタン | 絞り環:動作 MFフォーカスリング:動作 |
AF(※絞り環F値設定時) ※最新ファームで解消 | F2.8〜F4まで |
SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary
リング・ボタン | 絞り環:動作 MFフォーカスリング:動作 |
AF(※絞り環F値設定時) ※最新ファームで解消 | F2.8〜F4まで |
EF16-35mm F4L IS USM(MC-11)
リング・ボタン | MFフォーカスリング:動作 |
AF | 動作不能 |
SIGMA 35mm F1.4 DG HSM Art(MC-11)
リング・ボタン | MFフォーカスリング:動作 |
AF | F値全域で動作 |
まとめ

ということでNkon Z5にMount Adapter E-Zでの手持ちレンズの検証でした。
結論としてはZ5との組み合わせにおいては少々残念な結果となりました。主に対応リストに掲載されていたEマウントレンズでの挙動が安定しないのは少し残念ですね。
Z5はデジタル一眼レフ時代の古い表面照射センサーという話だったりエンジンも前世代なので、そこまでカバーできていない可能性が高いのではと考えています。
メーカーにしてもエビデンスがないと対応リストを公表しないと思うので、Z8やZ5IIなどEXPEED7世代だったりミラーレス世代のセンサーなどではしっかり動作するかもしれないですしね。
可能ならばメーカー側でボディ別の対応表など掲載してもらえると親切かなと思います。
絞り環搭載レンズにおいてF値操作がボディ側に限定されるのがやや不便ですが、対応表に表記されていたレンズについて基本的に動作は問題なさそうです。
2025/7/9追記
ハードウェアバージョンV6.0用に公開されたファームウェアV4.10/V4.11で解消されたことを確認できました。
2025/7/7追記
絞り環の問題については7/2に公開されたV4.00/4.01ファームの改善項目に記載があるので解消されている可能性があります。
ただハードウェアバージョンがV5.0対応ファームのようなので、ファームアップされる際は基盤に記載されているバージョンを確認してください。
とはいえサードパーティのアダプターですから購入は自己責任というのは大前提でしょう。
当然ながらボディ側の仕様はカメラメーカー主導になるので、サードパーティの検証・対応にも限界があります。
社外アダプターは使いたいレンズで動いたらラッキー程度に考え、使いたいレンズが動くかの下調べはしっかり行ってから検討するべきですね。
今後のファームアップに期待
ただこのアダプター、発売から半年ほどの間にファームがv3.0まで公開しています。
これはなかなかのリリースペースですよね。
メーカー側でも課題を理解していて積極的な姿勢で取り組んでいると受け取っても良いのかなと思います。最近はレンズの評価も高く堅調なメーカーに育ってきたVILTROXですので、今後のファームアップには是非期待したいところです。
ファームアップのトラブル
さてここで「おやっ」と思われた方もいるかも知れませんが、今回テストで使用したファームウェアはβ版のv4.0になります。
公式で頒布されている最新はv3.0なのですが、こちらはサポートに問い合わせて提供いただいたβ版です。
実はファームアップにあたって色々とトラブルがありまして…その顛末は別の記事にまとめています。
よろしければこちらもあわせてご覧ください。

記事拝読しました。
7/2に新しいファームウェアが公開されていて「Addressed degraded autofocus performance when using manual aperture beyond F5.6.」と記載があります。
ファームウェアの更新をやりたくない感じはありますが、もしかするとZマウントのF5.6以降の絞り問題への対処に進展があったかも知れません。この記事でもSIGMA製レンズなどF4までとされている部分にも変化があった可能性はありますね……というご報告でした。
ご報告とお読みいただきありがとうございます!
「Addressed degraded autofocus performance when using manual aperture beyond F5.6.」
これを読んで「おやっ?」と思い改めて検証したところ、絞り環を「A」にしてボディ側で絞ることでどのF値でもAF動作を確認しました。
なるほど、AF動かないのは絞り環が原因だったんですね…改めて検証結果を見直したら全F値でAF動作確認できたのは絞り環のないモデルだったのに気がつくべきでした。
これを反映して記事に注釈を追加しました。(PZ16-35mm F4は売却したため検証できませんでしたが、おそらく同様の現象だと思います)
情報提供ありがとうございました!
あと7/2にアップされた「E-Z V4.00/V4.01 for V5.0」について。
ファームアップ解決編にも書きましたが現在流通しているハードのバージョンは5.0と6.0があるようで、おそらく今回のファームは5.0用のものだと考えられます。
ただV3.00の方には注釈で「Warning: Please confirm your E-Z adapter version before updating」とあるのがV4.00に記載がないのが不可思議ではあります。
当方の製品はV6.0なので、ひとまず今回のファームは見送りですかね…
お返事ありがとうございました!検証していただいて…大変幸甚に存じます。
そうでした、基板側のバージョン違いを失念していました。たいへん失礼いたしました。
私もSIGMA 65mm F2でテストしてみましたが、確かに絞り環の問題のようです。他のスイッチ類や手ぶれ補正などについても、ぜひ他社レンズも含めて改めて試してみたいと思います。
ありがとうございました。
あれから関係者の方に問い合わせたところ、基盤バージョン6.0でも新ファームが公開されていることを確認。
ファームアップで絞り環の動作に対応したことを確認しました。
—–
V5.0用ファーム
https://viltrox.com/pages/e-z
V6.0用ファーム
https://viltrox.com/pages/e-z-v6-0
—–
いつの間にかファームウェアのページがV5.0用とV6.0用に分かれていました。
ファームアップは少々面倒ですが、宜しければ試してみてください。