1年ほど前にソニーZV-E-1をレビューしました。
まぁ結構ネガティブに書いてますよね。
当時は、というか今でも「これは誰向けのカメラなんだろう」と思ってしまうカメラであるという感想は今も変わりません。
動画機としては優秀なんですが高スペック故にすぐ熱停止したり、軽量でカンタン高画質なんだけどそのお手軽さと価格が見合ってないというのが前回の感想まとめでした。
そしてあれから1年と少しが経過しましたが、なんだかんだで今も気に入って使っています。
スチルメインの自分が操作性も悪い、メカシャッターのないカメラなのにもかかわらず何故気に入ってしまったのか。
今回は1年使ってみたレビューとしてそのあたりを少し語っていきたいと思います。
目次
ソニー ZV-E1というカメラについて
一応簡単にこのカメラについて。
ZV-E1は2023年4月発売。
カメラの動画需要を見込んだ、動画特化の「VLOGカム」カテゴリのカメラで、APC-CのZV-E10のフルサイズ版としてラインアップされました。
ちなみにZV-E10のステップアップとしては高価すぎて販売が伸びず、発売直後からソニーのキャッシュバックキャンペーンにエントリーされるほどの不人気機種。
それくらいソニーの思惑が外れた迷機種ということです。
ZV-E1の気に入っている理由
では何故そんな駄目な子のZV-E1をどうして使っているのか。
気に入った点を挙げていきます。
α7c系よりもコンパクト

ファインダーがない、操作性が悪いなどサイズによるデメリットも色々ありますが、なんだかんだ言ってもやはりこのコンパクトさは良いです。
α7c系を凌ぐこのサイズ感!
SIGMA FPには負けますがこの大きさでフルサイズですから、なかなかのインパクトです。

とは言えファインダーがないのは寂しいので、気休めに光学ファインダーをつけてみました。
ファインダーはLUMIXブランドの24mm「DMW-VF1」です。
ソニーとパナソニックの奇妙なコラボレーションになりましたが、このファインダーはコシナのOEMという噂があるみたい。なかなか綺麗に像を通すファインダーです。

ただ取り付け位置がオフセットしているので少し視差が発生します。それを考慮すれば一応センターは狙えるかなという感じ。
基本的にAF任せなので使うことはあまりないですが…この佇まいは気に入っています。
コンデジライクな操作系
コンパクトなサイズ感と「VLOGカム」というカテゴリライズから操作系は結構省かれています。
とは言え基本的にα系とできることは同じなので、スチル機として機能的に過不足はないです。

ご覧の通りダイヤルは1しかないし、当然ジョイスティックもないこのサッパリ感。まさにコンデジのそれです。
タッチ操作で保管できるし、ホイールのカスタマイズをすればマニュアル操作もできますが…まぁ別にいいかと諦めを誘う操作系。
それ故に「絞りだけで後はオートで良いか」と割り切れます。
低ノイズなのでISO感度は気にせずオート。
シャッタースピードは1/100くらいに固定で絞りだけシチュエーションによって変更。だいたいこんな感じで割り切れるのはなかなか軽快です。
あとコンデジ感覚と言えば、個人的に気に入ってるのはズームレバーです。

コンデジ定番のこのレバー、実はすっごい便利なのに気が付きました。
パワーズームとして使ってないですがプレビューで非常に有用で、撮影後プレビュー時に軽くレバーを手前に倒すだけで等倍表示できます。
当然拡大・縮小もレバー操作。プレビューは頻繁にやる作業ですから、これくらいアクセスしやすい専用のインターフェイスって一眼カメラでもあっても良いと思うんですよね。
地味ですが、おそらく自分がZV-E1でかなり気に入ったポイントの1つではあります。
1200万画素って思ったほど小さくない
現在でも主流の2400万画素の半分である1200万画素が不安だと思う方も多いと思います。(というかZV-E1でスチルを撮るのが亜流かもしれませんが)
でも実際撮影データを見ると数値ほどの違いを感じないんですよね。
ドット数は倍なんですけど面積の対角比ではそんなに変わらないという解釈でしょうか。
それぞれ書き出される画像サイズが
・1200万画素…4240×2832
・2400万画素…6016×4016
となり、比較するとこうなります。

情報量は確かに半分なんですが一回り小さいという程度に感じませんか?
あとはネットにアップしたりスマホで共有したりとなるとリサイズされるので、ほとんど差を感じることはないと思います。
粒状感のない解像感
高画素機などでは物理的にどうしてもノイズは乗りやすくなります。
また精細感はあるんですが粒状感が気になるシーンも出てしまいます。
そのあたりが低画素機だと逆に作用するんですよね。
これはこのセンサーの特性かも知れませんが、ヌルっとしているというか程よい解像感というか、精細ではない分余裕がある画作りになっていると感じます。
言語化するなら「精密」な描写ではなく「印象」の描写という感じでしょうか。
もちろん低画素機はノイズ耐性が高いのはあるんですが、1200万画素センサーが出力する画の特徴はそんなところにあると思います。
自分は物撮りをする時に、保険も兼ねて同じアングルでもカメラを変えて撮影したりしますが、何故かZV-E1のショットをピックアップすることが多いんですよね。
その理由も精細さより印象を優先してしまう、そんなところにある気がします。
いろいろ割り切れる
そしていろいろまとめると理由はつまるところこれ。
ボディが小さいとか1200万画素とか、そういった理由から機材として割り切って使えることです。
主にレンズにこだわりがなくなることですね。
解像感とかボケとかは二の次。とにかく小さくてそれなりに写ればOK。
なのでZV-E1のメインレンズはFE 28-60mmですっかり落ち着いてしまいました。

FE28-60mmについては単体でも大三元との比較でもレビューしましたが、小さくチープな外観ながらそこそこ写るので気に入ってるんですよね。
あとは気分的にも、例えばα7IVとかのマッチングだと「せめてGレンズにしようよ…」となってしまうところ、コンパクトモデルなら「サイズ的にこれでいっか」と割り切れます。
高解像レンズにしても「1200万画素だとレンズの本領発揮ができないし、本気レンズじゃなくていっか」と割り切れます。
実際は1200万画素でも解像感ある画は撮れるし高級レンズを組み合わせる意義もそれなりにありますが、コンパクト故に可搬性に振り切れるという感じですね。
これはある意味、カメラ・レンズ沼にハマった患者の特効薬かもしれません。
まとめ

ZV-E1は割り切って使うと幸せになるカメラ
ということで自分がZV-E1を気に入っている理由を書き連ねてみました。
色々カメラを使ってみて「もうカメラは何でもいいや」と思っている方には、ある意味落とし所の最右翼かもしれません。
廉価なズームレンズのFE 28-60mmをメインに単焦点はシグマのiシリーズが数本。これでコンパクトでそこそこ写るシステム完成。
これでいい。いやこれがいい。
スチルカメラとしては割り切りに割り切ったストロングスタイル、それが自分にとってのZV-E1という回答です。
何事も割り切りって大事ですよね、ホント。
動画機としては結構良い
ああ、今回あえて言及していませんが当然ながら動画機としてはかなり良いです。
AF性能や手ぶれ補正はもちろん、クロップなしで4K 60Pで撮れるし指向性を選べる内蔵マイクなど、充実した機能はさすがVLOGカムです。
コンパクトで高性能故に熱停止の問題はありますが…まぁシネカメラじゃないですし、ちょい撮りなら問題ないでしょう。
万人にオススメして…いいのかな?
どんな人にもオススメできるカメラではない…かも知れないですが、自分にはスッポリ収まる場所があったという感じ。
コンパクトであることと低画素機独特の画作りなど、ZV-E1はやっぱり独自路線のカメラなんですよね。
万人にオススメはできないですが、現在中古相場が20万を切ってきてるのでちょっと試してみてはいかがでしょう?

コメントを残す