一昔前は国内で入手できる三脚を言えばベルボン・スリックなど国内メーカーをメインにマンフロット・ジッツオなど欧州メーカーなどがほとんどでしたが、近年はネットはもとより実店舗でも中国製の安価な三脚が増えてきました。
個人的には三脚は当然しっかりしたものを選びたいけど、しっかりしたものは当然高い。
そして機能性・堅牢性・軽量性・質感など、やはり高い金額を出さないと得られないものがあります。
ただ同時に近年中国製品のビルドクオリティの向上していて、特にカメラアクセサリの充実にも非常に注目しています。
フィルター類やマウントアダプター、クイックシューやプレートなど、ユーザーが「安いに越したことはない」と考える部類のアクセサリは、既に僕たちの要求を満たすものになっているんじゃないでしょうか。
中国メーカーの三脚でそのイメージを崩してくれたのが、以前購入した「leofoto」。
日本・欧米と対等の強気の価格設定ですが、それに見合ったデザイン・質感に加えオリジナリティも備わったプロダクトはまさに脱帽。「安かろう悪かろう」から脱却した中国メーカーがあることを実感させられました。
そしてそんな中国メーカーで三脚をメインに幅広くカメラアクセサリを手掛けているのがK&F Concept。
アマゾンではお馴染みのブランドで、当ブログでも以前NDフィルターの提供もいただきましたが、今回改めて三脚をご提供いただけるとになりましたのでレビューしたいと思います。
目次
K&F Concept S210
今回提供いただいたのは「S210」というモデルです。
最長2mととても背の高い三脚になります。
コンパクトなトラベル三脚では定番の180度脚を折り曲げるスタイル。
全高2mの大型のものでは珍しいんじゃないでしょうか。
一般的なモデルが170cm前後、トラベル三脚では130cm前後くらいですから、2mとなると相当高くなります。
脚立がないと手が届かない高さですよね。
アルミ素材このサイズなのに軽量・コンパクト
届いた時収納ケースを見て「やっぱりちょっと大きいな」と思ったのですが、袋から出してみると意外にコンパクト。
leofotoのLS-225と比べてみるとこんな感じ。
直径はさすがに相応ですが、長さはLS-225とそれほど変わらないのが分かります。
また素材はアルミで重量は1.5kg。このクラスのサイズならばカーボンでもこのくらいの重さはありますから十分軽い部類にはいるでしょう。
エントリークラスのカーボンに剛性はあまり期待できなかったりするので、この軽さなら実用面でもアルミを選択するのは十分にアリですね。
三脚部
では細部を見ていきます。
まずは肝心な三脚部からです。
脚は4段のアルミ素材
塗装や質感に安っぽさは感じられません。
また一脚として取り外せる一本にはウレタンが巻かれています。
素体としてのクオリティはオーバー3万円クラスと比べても十分満足できる仕上がりだと思います。
レバー式のロック機構
脚は4段でロック機構はレバー式。
個人的にはくるくる回すナット式のほうが好みなんですが、これは好みが分かれるところ。
開封してすぐはロックが渋く力が入りましたが、何度か使用していたら馴染んてきたようで程よい硬さに。
耐久性は分かりませんがすぐ緩む感じはなさそうです。
角度は3段階
脚の角度は3段階に調節可能で、最大角度でほぼ水平まで広げられます。
ただ3段目はセンターポールを伸ばさないと広げられません。
せっかくここまで開脚できるのなら脱着可能なセンターポール、ないしセンターポールレスのオプションがあれば嬉しいですね。
角度のロック機構はスプリングの張力で脚を広げると自動的に固定される方式。上質な赤のアルマイト装飾がお値段以上の質感を演出していて格好良いです。
ただここがちょっと頼りなくこの三脚の最大のウィークポイント。
バラしてみると分かるのですが、ノブを頼りないスプリングで抑えているだけなのでガタつきます。
また個体差なのか、何度か脚を開閉していたら張力がなくなったのか一本の脚が固定が甘くなってしまいました。
幸い単純な作りなのでホームセンターでバネを買ってきて補強したら固定できるようになったので致命的ではありませんが、こういった甘さはコストなりといったところです。
エレベーターは2段で逆位置も可
センターポールのエレベーターは2段階。
脚を全部伸ばして、センターポールを2段伸ばした最長が2mのハイアングルを実現しています。
重心が高くなるエレベーターは安定性とトレードオフになりますが、背の高い三脚でこのコンパクトさを実現するには仕方ないところですね。
またセンターポールの荷掛けフックは取り外せるので、ポールの逆さに付けてローアングル撮影も可能になっています。
ゴム足を外すとスパイクになる石突
石突のゴム足は脱着式で、外すとスパイクが現れます。
アタッチメントの付け替えをせずともフィールドに合わせて使い分けられるのは良い機構です。
作りは簡素で手で触るとキュルキュルと回ってしまいますが、簡単に外れる感じもしないので問題ないでしょう。
ただ外で外して使った時にゴム足を無くしそうなので、センターポール内にでも収納できたら良かったかも。
最長2mの一脚としても使える
脚の1本を取り外して一脚としても使えます。
同社の三脚ではよく採用されていますね。
脚の根本は3/8ネジで固定されているので直接雲台を取り付けることも出来ますが、センターポールを取り付けることも可能。
そして面白いのが、そのセンターポールを取り付けると最長2mの一脚になる点です。
2mともなるとさすがに操作もできないし液晶も確認できませんが「2mのカメラを固定できる棒」と考えると意外に面白いかもと思っています。
例えば何かしらのアタッチメントでスマートフォンを固定してのリモート撮影とか、osmo pocketや軽量ジンバルを使ってドローンっぽい撮影にも使えそう。
あとカメラと全く関係ない用途ですが、スパイクも使えるのでキャンプでテントやタープの予備のポールとしても良いかも。
自由雲台
アンダー1万円のエントリークラスの三脚で気になるのが雲台でしょう。
コストカットで最もクオリティに影響がでるパーツですからね。
結論から言うと高級感や所有欲、という点に目を瞑れば十分実用的で満足できます。
雲台だけで5,000円と言われても納得できるくらいのクオリティかなと思います。
微調整には若干の難あり
外装の質感やレバー・ノブなど、やはり3万オーバーのミドルクラスと比べるとチープさは否めません。
固定圧の調整もできないので、ボールの開放調整も良いとは言えませんね。
ただボールがそれなりの大きさなので、締めてしまえば保持力は割とあります。
仕様では耐荷重8kgとありますが、開放時の取り回しを考えると重量はもう少し抑えるか、ロングプレートでバランスをとったほうが取り回しは楽になるでしょう。
パンの動きについては合格点。
グリスの粘度も丁度良く、程よい抵抗があり滑らかに回せます。
意外にも出来の良いクイックシュー
クイックシューはお馴染みのアルカスイス互換。
中には形状は同じでもサイズに汎用性がなかったりする「なんちゃって」もありますが、peak desginのキャプチャーワンのプレートが付いたのでおそらく他のものでも大丈夫でしょう。
正直安価な雲台でガッカリするのがクイックシューなのですが、これはなかなか出来は良いです。
可動部もスプリングがしっかり効いているし、ゆがみも見受けられず締めるとしっかりプレートを噛んでくれます。
アンダー1万の三脚付属の雲台としてはかなり良い方だと思います。
最初の一本、ないし安価に背の高いものが欲しいならばオススメできる三脚
総評としては「なかなか良い」三脚といったところでしょうか。
ただ3月末の価格がamazonで7,980円ですから、価格を鑑みるとコストパフォーマンスは相当良い部類だと思います。
一昔前はこのクオリティに2〜3万円出してましたからね…本当に良い時代になりました。
高級感や所有欲という点ではオーバー3万円クラスと比べればさすがに負けますが、雲台も含め十分実用的な三脚です。
容積は若干かさばりますが収納サイズはコンパクトでなにより軽量なので持ち運びが苦にならず伸ばせば最大2mと高く、加えて1脚にもなるというマルチな使い勝手が良さは初めての三脚として、また安価に背の高いサブの三脚としては十分オススメできる製品だと思います。
今回の製品は低コスト・高パフォーマンスというコンセプトなのは理解した上であえて言いたいのですが、個人的にはこの価格でこのクオリティを出せるのだから、もう少し価格帯を上げた高級路線のプロダクトも見てみたいですね。
冒頭に触れたleofotoのように、目の肥えた日本人を驚かすラインアップを期待したいところです!
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