シネマティックな雰囲気を醸し出すソフトフィルター
近年youtubeのビデオグラファー界隈で話題になっているブラックミストフィルター。
淡いトーンとコントラスト、時々現れるハレーションやフリンジがデジタル世代のカチっとした画作りにない温かみがエモーショナルな雰囲気が人気です。
これらの効果はそもそも動画にオールドレンズを使うムーブメントからの流れなので、「オールドレンズ風」と置き換えても良いと思いでしょう。
そんなシネマティック・オールドレンズ風の効果を現代レンズでもカンタンに得られるフィルターが「ブラックミストフィルター」です。
今回K&F Concept様から先日発売された「1/4ブラックミストフィルター」をご提供いただきましたので、そのレビューとなります。
製品外観
透過率は84%。効果は1/4とケンコー製品ではNo5に相当するフィルターです。
ガラス面はドイツSCHOTT社製B270光学ガラスを採用し、マルチコーティングにより低反射・防水性を備えています。
航空用アルミ合金フレーム採用で厚さは3.3mm。
K&F Conceptのフィルターは提供品・購入品含め数種類使っていますが、近年のラインアップはホントにどれも工作精度が向上しています。
少し前の製品は作りや精度が価格なり、ホコリだらけになったりと所謂安物メーカーのイメージが拭えませんでしたが、最近はクオリティも向上しカメラアクセサリメーカーとしての地位を確立してきた感がありますね。
個人的にはマウントアダプターやフィルターなど、どのジャンルの製品も安心して選べるメーカーに育ってきたかと思います。
さて、今回「ブラックミストフィルター」という製品は初めて手にしたのですが、フィルター表面に黒い斑点のような模様が描かれてます。
シネマティックにフワッとした表現をするフィルターと聞いていたのでてっきりくもりガラスのような半透明なものを想像していましたが、文字通り黒い霧状の模様なんですね。
これでソフトフィルターの効果が出ると思うと不思議です。
ともあれどんな効果が出るのか作例を撮影してみましたので、このフィルターの特徴を見てみたいと思います。
光の拡散効果
一番の特徴が光の拡散効果です。
光源を入れると輪郭がぼやけてフワッとしたした画になります。
まず試しに光芒を撮影してみました。
1枚目がフィルターなし、2枚目がブラックミストフィルターの写真です。
光芒の中心円が広くなっているのがわかります。
このように光源を入れると光が拡散して滲んだように写ります。
丁度見頃だった桜。
単純なソフトフィルター効果ではなく、花弁の輪郭や日陰になっている花のシャープさはほどほどに残しつつ強く光を受けている白い花びらは溶けるように輪郭がぼやけた写りになるのが面白いです。
オールドレンズのような浅いトーン
ホワイト寄りの浅いコントラストの画になります。
自分の所持しているオールドレンズではMマウント初期型ズミクロンに似た感じ。
淡いコントラスト浅い写真をハイライト寄りで取るのが好きでオールドレンズを使っているところもあるので、現代レンズでオールド風の仕上がりになる一番のポイントでしょう。
これはツアイス銘の「SEL55F18Z」で撮影。
このレンズはコントラストが強く色もコッテリなイメージのレンズでしたが、ブラックミストフィルターを通すとこんなにキャラクターが変わるのか、と驚きました。
生憎の曇り空でしたが、このフィルターならハイライトが破綻するギリギリに寄せた写真も面白いかなと感じさせられます。
暖色系の色味
1枚目がフィルターなし、2枚目がフィルターあり。
コーティングによる変化なのか、先に上げた特徴の光の拡散とコントラストの浅さに加え、色味が寒色から暖色に変わっているのがわかります。
黄変したスーパータクマーなんかも暖色寄りになるので、この辺もオールドレンズっぽい雰囲気が出て良いですね。
淡く柔らかい、少し色あせたような色味が古いフィルムカメラや8ミリビデオのような、懐かしい雰囲気を醸し出してくれます。
フィルター1枚でお手軽にエモーショナルな写真・動画撮影を
今回始めて使ってみましたが、ブラックミストフィルターはなかなか面白い製品ですね。
噂には聞いていましたが、ホントにフィルター1枚でオールドレンズ風味に撮影できました。
動画撮影ではシネマティックなムービーを撮るのにオールドレンズの需要が高くなっているという話を聞いていましたが、ブラックミストフィルターもそのムーブメントによる需要から注目されている製品なのがよくわかりました。
オールドレンズはマウントやらアダプタやらと若干敷居が高い上に、業の深いレンズ沼が待っているので誰彼構わずオススメはできませんが、レンズフィルターなら初期投資は数千円だけで表現の幅が広がります。
「カメラのことはあまり詳しくないけどオールドレンズのような、エモーショナルな写真・動画が撮りたい」という方にはもってこいのフィルターだと思います。
また「わざわざ現代レンズの高い精細度を落とすなんて言うのは搦め手だ」と考えているベテランの方にも、印象深い記憶的な写真を混ぜる隠し玉として、このフィルターを一枚ポケットに忍ばせて出かけるのも面白いと思います。
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