これはもう重くて大きいフルサイズはいらないかも・・・
購入後すぐに物撮りレビューしたパナソニック Leica 12-60ですが、それからしばらく週末の天候が悪かったり寒くなったりで、フィールドレビューがすっかりおざなりになってしまいました。
単純にカメラへの意欲が落ちていたのもありますが、前回のレビューからそこまで期待できないかな…という思いもあって積極的に持ち出すこともなかったのですが、重い腰を上げてフィールドに持ち出してみたところ予想を裏切る映りにちょっと驚きました。
やっぱりカメラは撮影してナンボですね…いや当然ですけど。
これまでマイクロフォーサーズはあくまでサブ機というスタンスで、安くて映りの良い単焦点ばかりを使っていて、このクラスのレンズを使ったことはなかったのですが、実際使ってみてフルサイズからm4/3へ乗り換えるという人の気持が分かりました。
ここまで写ればアマチュアレベルでは重いフルサイズはいらないな、と感じられるほど。
半年ほど使用した私感をサンプルを交えてレビューしてみたいと思います。
目次
4000万画素クラスのフルサイズにはとても敵いませんが、GX7mk2のローパスフィルターレス機構と相まって奥の方の葉まで綺麗に解像されているのが分かります。
葉の輪郭が良く描かれているので情報量の多さからダイナミックさを演出できていますね。
12-40などオリンパスのレンズのほうが解像度は高いという話ですが、エッジがきつくなく自然なシャープさがあり個人的には十分と感じます。
四隅の画質については、さすがにこの価格帯のズームレンズなので若干流れてはいますがアマチュアレベルでは許容範囲ですね。
さすがライカ銘のレンズ、と言うべきかとても良い色を出してくれます。
特に空がコダックCCDを採用していたころのフォーサーズ機で言われていた「オリンパスブルー」を彷彿とさる青で個人的に好みの色が出してくれるのが嬉しい点。
若干荒めですがレンガの一枚一枚を視認できる程度には解像されているのが分かりますね。
日中なのに設定を誤ってISO800での一枚。
高感度でも意外に色が残っていますね。
マフラーのギラギラしたメッキとそれよりはマットなクリア吹きのタンク、さらにマットなブーツカバーのゴムなど、材質に合わせた質感が描写されています。
解像感では14-45でも十分良いのですが、レンズサイズが起因するのか粒の大きな描写となりコントラストが高めの画になってしまいます。
その点12-60は粒が細かく滑らかな階調が表現されています。
特に光の当たった部分の滑らかなグラデーションは艶っぽく良い雰囲気。
マイクロフォーサーズで望遠側のF値が4.0のため、ボケは控えめですね。
その点は素直に2.8通しが羨ましいですが日中の野外では多少絞ることになりますし、被写体によっては最短撮影距離も短いので接写で対応できるので実使用上は問題ないでしょう。
そして他のズームレンズに漏れず、このレンズも樽状の歪みが発生します。
ワイ端でこの程度なのでまずまずと言ったところですが、テレ端を使ったほうが無難ですね。
波の陰影がしっかり解像していて遠近感と臨場感を感じさせます。
沈みかけた太陽による空と海のグラデーションがなだらかに描かれて、且つ海面に映った太陽が水平線の先までシャープに描かれているのにちょっと驚きました。
テレ端で対岸を撮影。
電線やアンテナなど線はか細いながら十分解像しているのが分かります。
換算120mmもあれば望遠レンズの圧縮効果も楽しめるものですね。
現像時にこのコンテナの色にハッとさせられました。
コッテリすぎず質感と空気感を醸し出す何とも言えない、すごい好みの色です。
あと他の写真でも言えることですが、コンテナの凹凸部分に当たる光と陰影の表現が良いですね。
柔らかい光では軟調に、硬い光では硬調にと同じ材質でも光によって印象が変わります。
ライカ銘のレンズを使うのが初めてなのでライカが総じてこうなのかは分かりませんが、このレンズはこうした光の表情の捉え方が得意なのかなと感じました。
オールインワンで表現力豊かな標準レンズ
14-45との価格差を実感
前回のレビューでは定常光の室内物撮りということでエントリーモデルとの差は正直見分けられませんでしたが、フィールドに持ち出してみると差は歴然。そりゃ価格差が10倍近くあるんですからそうでなくては困ります。
主に描画の粒度の細かさと色の階調は、さすが二桁万円のレンズの力を感じました。
ただ14-45をGF1とE-PM2で使用していた時にはそこまで粗さを感じなかったので、ひょっとしたら画素数とローパスフィルターレスの解像度に光学性能がついていけてないだけかも知れません。
やや軟調で空気感のある色表現
「解像度」という点では他で言われている通り、この価格帯のレンズとしては若干劣るかなと感じました。
ただカリッカリではないだけで解像感は十分にあります。
何よりシャギーの立つような描画より軟調な表現をできることがこのレンズの長所でしょう。
色も程よく乗ることで豊かで自然な表現力ができるレンズだなと感じました。
広角換算24mmから120mm、最短撮影距離20cmと幅広い撮影範囲
使ってみて実感したのですが、一般的な標準ズームの換算24〜70mmないし105mmよりも長い120mmはなかなか便利ですね!
「もう一歩望遠が!」というシチュエーションにも応えてくれます。
また最短撮影距離が20cmと近いので準マクロやテーブルフォトにも向いているので、通常のスナップ用途の撮影範囲はこれ一本で十分カバーしてくれます。
でも価格なりの妥協点はある
それでもF値変動や樽型収差、周辺画質など、やはり価格なりの妥協点はあります。
特にF値2,8はテレ端の12mmだけで、もう少し緩やかに変動してくれないものかと思わせるほど潔く上がっていきます。
まぁ当然ながらそんな要望に応えた完全体のレンズは高くて重いものになってしまうので割り切りは必要ですね。
「これはもうフルサイズはいらないかも…」と感じさせられた良レンズ
これまで出先のスナップにはやや重いCANON 6DとEF 24-70mm F4を携えていたのだけれど、Panasonic GX7mk2とLeica 12-60mm F2.8-4.0で撮影した写真を見比べてみて「これはもうフルサイズはいらないかも…」と感じさせられました。
もちろん高感度耐性や等倍鑑賞での解像感という点では劣る面もあるけれどそれはアマチュアレベルでは重箱の隅をつつくような話。
記録だけでなく記憶に残す意味でも十二分なパフォーマンスを発揮する組み合わせだと思います。
何より個人的な趣向にはなりますが、色表現についてはLeica銘のレンズのほうに魅力を感じます。
コンパクトさを持ち出すと12-60mm f2.8-4.0はマイクロフォーサーズにしては若干大ぶりなのでそのメリットをスポイルするレンズになりますが、それでもAPS-Cシステムと比べてもアドバンテージはあるでしょう。
軽くて小さいシステムがマイクロフォーサーズのセールスバリューではありますが、ハイパフォーマンスなレンズ群が揃っているのもこのシステムの特徴の一つ。
少々無理をしてもこのクラスのレンズを手にしてみることをオススメします!
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