5年ぶりのキヤノンフルサイズエントリーモデル
そろそろ登場か、と前々から噂になっていたCanonのエントリークラスフルサイズ機EOS 6Dの後継機「EOS 6D Mark II」の発売が発表されました。
初代が2012年11月発売ですから、かれこれ約5年ぶり刷新となります。
キヤノンのAPS-Cモデルは毎年のように新型が出ているイメージですが、フルサイズとハイエンドクラスはやっぱりリリーススパンが長いですね。
尚以前書いたCANON EOS 6Dのレビュー記事はこちら。
発売当時はニコンのD600と並び「低価格でエントリークラスのフルサイズモデル」として市場を賑わせた6Dですが、5年を経過した今さすがに機能面で色あせた感は否めません。
というか対価格とサイズでフルサイズ機のハードルを上げた決定的な要因はやっぱりソニーでしょう。
目次
キヤノンはフルサイズエントリーモデルをどう刷新したか
それまで「高価・重い・大きい」というフルサイズ機の概念、というかある意味ステータスでもあった考えをあっさり突き崩したのが初代α7(デジタル)。
まぁ初代の頃はボディがチープだったりマウントが弱かったりEマウントのフルサイズ対応レンズが少なかったりで手放しで歓迎される雰囲気ではありませんでしたが、それでも初値で15万前後の価格とあのサイズは衝撃的でした。
加えて昨今の小型ミラーレスカメラに見る小型化の潮流と技術革新による高機能化。
「フルサイズなんだから大きいし、安いんだから性能をカットされて当然」というのは市場では通用しなくなってきたのではないかと思います。
またこれまでカメラはハイクラス、エントリークラスと上流・下流で2分していた感がありましたが、最近はローエンドはスマートフォンのカメラに流れ、写真と動画を楽しむ趣味層が厚くなった影響で、デジタルカメラは価格・機能がバランスのとれたミドルクラス機がボリュームゾーンの市場になっています。
こんな時代背景の中、満を持しての6Dマーク2の登場です。
どんなカメラに仕上がっているのか初代6Dの使用感を交えて、メーカーのスペックシートで確認できる範囲で個人的に気になる点をまとめてみます。
センサー
2020万画素から2620万画素へ
初代6Dの2020万画素から2620万画素へアップしています。
高画素だから良いという「画素数信仰」はカメラ愛好家とメーカーから消えてて久しいですが、それでも、いやそれだけに高画素化はやっぱり歓迎できます。
現状2020万画素でも不満はありませんが、4Kディスプレイを使いだしてからは「もう少し精細感があってもいいかな」なんて欲が出てしまいますね。
ISOオート時のシャッター速度低速限界設定
手ぶれ補正付きレンズを使用していてもそこはフルサイズ。正直マイクロフォーサーズ機のように過度に信頼することは難しいです。
また高画素化によりブレがシビアになりますので、この機能がハイエンドから降りてきたのは地味に嬉しい点です。
オートフォーカス
オールクロス45点AFセンサー
「エントリークラスだから」とバッサリ切り捨てられたのがAF性能。そのAF性能が大きく強化されそうです。
6Dでは測距点は11点で、クロスセンサーは中央一点のみ。
中央は精度も良くそこそこ暗所でも合焦するので使えましたが、中央以外はピンが甘く絞ったり暗所ではフォーカスすらしないので正直使えないAFでした。
それが45点クロスセンサー搭載ということで、ここは大きな進化ですね。
ただ公式サイトのファインダー像のイメージ画像を見ると中央に集中しているようです。
ミラーレスがコントラストAFで画面全域をカバーしている機器を見ると、もう少し広範囲をカバーできないものかと思ってしまいます。
AIサーボAFとライブビュー時のAF精度アップ
メーカー公式のYOUTUBE動画を見ると、動体への追従AF性能がアップしているようです。
また亀のように遅かったライブビュー時のAFスピードも向上している様子。
個人的に動体はあまり撮りませんし、静物のライブビュー時はMFで慣れてしまったのでさほど恩恵はなさそうですが、子供撮影などではAF性能は訴求力があるので重要なファクターになるでしょう。
バリアングル液晶搭載
動画需要を意識したバリアングル化?
キヤノンフルサイズ機でようやく「初」となるバリアングル液晶を採用。
これまで採用されなかったのはコスト面もあるのでしょうが、なんとなくキヤノンフルサイズ機としての「プライド」みたいなのもあって見送られてきたんじゃないかな、とも思ってしまいます。
ただ今回はパナソニックGH4からはじまった「一眼動画」需要を見込んでいそう。
動画撮影に強化された一眼カメラは数あれど、動画撮影できるフルサイズ機というのはまだまだインパクトのあるトピックです。
実際の動画性能は未知数ですがその点をアピールしたかったがための採用なのか、と邪推してしまいます。
ともあれバリアングルはスチルのライブビュー撮影でも重宝するので、フルサイズ機に搭載されるのを待っていた人も多いはず。
バリアングルはモニタが光軸からずれるので好まないという意見もありますが、利便性からここは個人的には素直に歓迎すべき変更点でしょう。
動画性能
FHD60p動画対応。でも4Kは見送り
上位機種との差別化のためか、4K動画撮影は見送られたようです。
まぁ4K鑑賞環境の普及率や、4K動画を編集するために要求されるPCのスペックなどを考えれば、現状4K動画はオーバースペックなのが実情だとは思いますが、少し残念ですね。
その他動画撮影のスペックを見てみましたが、80Dの焼き直し感が否めない感じ。
ただ、サーボAFの性能次第では大化けする可能性もあるので、動画に関する評価はレビュー待ちですね。
正常進化の2世代目。正統進化したスチル向きフルサイズ機
動体・ライブビュー撮影の進化に注目
というわけでサラッとスペックを見てみました。
やはり今回のトピックはAF性能とバリアングル液晶、ライブビュー性能でしょう。
正直初代6Dのライブビューは「とりあえず液晶でも見られる」程度でしたが、AFスピードも上がりタッチ操作もできるようになるようなのでようやく実用的になりそうです。
ただ反面、動画性能としてはまずまずな感じ。
4K撮影が可能ならば随分評価も変わると思うのですが、その点だけが残念ですね。
まぁEOSのフルサイズ機はスチルに特化したカメラであるほうが、パナソニック・ソニーなど動画機や同社二桁機との棲み分けもできるので良いのかも知れません。
ともあれキヤノンのフルサイズにおける最大の魅力は、潤沢でハイクオリティなレンズ群が使えること。
新興勢力のミラーレス陣にシェアは落としているものの、スチル機としての信頼と画質は揺るいでいません。
まだまだ初代6Dも現役
ただスチルの画質に関しては実際のところ現行6Dで満足しちゃってるんですよね。
もちろん高画素化による綿密な描写やAFの進化による動体撮影の向上は羨ましいですが、現行の2020画素でも4Kディスプレイでの等倍鑑賞にも十分耐えうるし、趣味で撮影している限り動体を追うこともほとんどありません。
また結婚式場や子供撮影スタジオなど、プロの現場でもよく使用されているようですし、趣味の撮影に関して言えばまだまだ現役。
6Dだけでなく、このクラスを所持している人なら画質に関してこれ以上の向上を望む人は少ないんじゃないかと思います。
PCのスペックもそうですが。デジタルカメラも4,5年前のモデルでも十分使用に耐えられるほど、画質に関しては成熟していると感じます。
なので個人的に今後のカメラの買い替え、買い増しを検討するにあたって期待するスペックは、「現行6Dをベンチマークとした画質」「ボディサイズ」「動画撮影性能」になるため、おそらく6D Mark IIは見送ります。
もちろん財力があればいくらでも買いますけど!
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